「犯罪被害者の力に」20年 静岡支援センタ―、支援の輪広がる

2018/05/17 08:01 

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 事件事故の被害者や遺族をサポートする「NPO法人静岡犯罪被害者支援センター」(大石剛理事長)が今月、設立20年を迎えた。精神的・経済的に苦しむ人たちを対象に、電話相談やカウンセリングなどの活動を展開。これまでに6000件以上の相談が寄せられ、約270人を支援した。犯罪被害者に寄り添うボランティアも育ち、支援の輪が広がっている。
 2016年に静岡県西部であった殺人事件。犯罪被害相談員の男性(69)=静岡市清水区=は、息子を殺害された女性が事件現場で手を合わせる光景を鮮明に覚えている。
 女性は裁判に証人として出廷するため北海道から静岡県を訪れた。男性相談員は女性に付き添い、公判にも同席した。「まったく知らない土地で助かりました」。別れ際、女性は張り詰めていた表情を初めて緩めた。男性相談員は「被害者に寄り添い、痛みに共感するのがわれわれの原点。被害を克服して次の人生の一歩を踏み出す手助けができれば」と語る。
 センターは1998年5月に発足し、2007年には県公安委員会の犯罪被害者等早期援助団体に指定された。電話相談への対応、警察署や裁判所への付き添いなど業務は多岐にわたる。17年度には312件の相談を受理した。
 常勤職員とともに26人のボランティアも活動を支える。04年から相談員を務める浜松市の60代女性は「被害者の気持ちを受け止め、元の生活に戻れるよう取り組んでいる」と信頼関係を築く必要性を強調する。昨年度にボランティア養成講座を受けた静岡市清水区の女性(58)は「障害を持つ人たちが犯罪に巻き込まれた時に手助けができればと思い参加した」と話す。
 犯罪が多様化しセンターの存在感が高まる中、相談をためらう人たちにどう手を差し伸べていくかは課題だ。副理事長の白井孝一弁護士は「態勢は充実してきたが、認知度はまだ低い。重大事件だけでなく、警察に被害を届けるかどうか悩んでいる人も相談できるよう環境を整えていきたい」と語る。

 ■条例整備、性犯罪相談拠点新設も
 犯罪被害者支援を巡る施策はこの20年で着実に前進してきた。2005年に被害者支援を国の責務と規定した犯罪被害者等基本法が、15年に県犯罪被害者等支援条例がそれぞれ施行された。
 17年には藤枝市が県内市町で初めて、被害者支援に特化した条例を整備した。「被害の程度に応じた見舞金を給付する」と盛り込み、支援団体からは他市町への波及を期待する声が出ている。
 静岡県は今年7月、性犯罪や性暴力に遭った被害者からの相談を一元的に受け付ける「性犯罪等被害者ワンストップ支援センター」を静岡市内に開設する。24時間態勢で相談に応じ、医療機関や専門家に橋渡しする。性暴力被害は潜在化しやすいとされ、被害者が一人で苦しみ続けるケースも少なくない。被害者の負担を軽減し、相談しやすい環境を整えることで泣き寝入りを防ぐ狙いがある。
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