インドネシア:相次ぐ子連れテロ IS影響根強く

2018/05/15 22:15 

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 【ジャカルタ武内彩】インドネシア・ジャワ島東部スラバヤで13日から連続5件、自爆テロや爆発が起きた。関与したのはいずれも子供連れの3家族で、国家警察は過激派組織「イスラム国」(IS)に共鳴する国内組織のメンバーによるテロと発表。組織としては壊滅したとされるISだが、世界最多のイスラム信徒を抱えるインドネシアでその影響力が根強く残っている現状が浮かび上がった。

 ◇警戒防ぐ戦術か

 国家警察によると、13日朝に三つのキリスト教会が狙われた自爆テロは6人家族が実行した。まずスラバヤ中心部の教会でバイクに同乗した息子2人(16歳と18歳)が自爆。直後に別の2カ所で、2人の娘(9歳と12歳)を連れた母親、父親のディタ・ウプリアルト容疑者(47)がそれぞれ自爆した。3件のテロで家族全員の他、市民計12人が死亡した。

 13日夜には、警察がテロとの関連を調べていたスラバヤ郊外のアパートの一室で爆発が発生。そこに住む6人家族の父親が爆弾を誤爆させたとみられる。この爆発で妻と17歳の息子が死亡し、父親は警官に射殺された。

 14日朝には警察本部で2台のバイクに分乗した5人家族が自爆。夫婦と10代の息子2人の計4人が死亡し、8歳の娘が負傷した。

 ウプリアルト容疑者は、ISに忠誠を誓うイスラム過激派組織「ジャマー・アンシャルット・ダウラ」(JAD)のスラバヤ地区のリーダーで、他の2家族の父親もJADのメンバー。いずれの家族も社会に溶け込み、日常生活を送っていた。国家警察のティト長官は14日の会見で、JADの組織的関与を指摘。テロは指導者らを収監したことへの報復が動機だったとみられる。

 ■残るISの影響力

 インドネシアは政治に宗教を持ち込まない「世俗主義」を国是としている。だが14年6月にISが国家樹立を宣言すると、共鳴した若者らが中東に渡航して参戦した。JADのメンバーら約1100人もシリアに渡り、うち500人以上が既に帰還したとされる。

 ISは昨年、米軍などの掃討作戦でほぼ壊滅状態になったが、インドネシアを含む東南アジアでは影響力を維持する。インドネシア大のリドルワン・ハビブ教授(テロリズム)は「地域の過激派はIS最高指導者のバグダディ容疑者が逮捕されない限り、カリフ制に基づく国家樹立を諦めない」と指摘する。

 警察当局は中東で実戦を積んで「逆輸入」されたテロリストを警戒し、対テロ専門部隊を組織。JAD指導者のアマン・アブドゥルラマン被告(反テロ法違反で審理中)らを逮捕し、実績を上げてきた。だが、過激派にとって仲間を取り締まる警察当局は「堕落」した敵であり、近年は最大の攻撃対象になってきた。

 ハビブ教授によると、家族連れによるテロがインドネシアで起きたのは初めて。インパクトは大きく、自爆テロを起こした家族らはJADの存在感を見せつける目的があったとみられるという。また、子供が一緒だと警戒されにくいという戦術面での効果も狙ったようだ。

 ジョコ・ウィドド大統領は、一連の自爆テロを「野蛮な行為だ」と強く非難し、過激派の監視態勢を強める法改正を急ぐ方針だ。

 【ことば】ジャマー・アンシャルット・ダウラ(JAD)

 2015年にジャワ島東部マランで設立されたとされ、過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う過激派組織としてはインドネシアで最大規模。アマン・アブドゥルラマン指導者は反テロ法違反の罪で服役中の刑務所内から、16年1月にジャカルタ中心部のショッピングモール近くで発生した自爆テロの実行を指示したとして起訴された。このテロでは外国人を含む計4人が死亡。

毎日新聞

国際

国際一覧>

注目の情報