商社とコンビニ:連携強化、相乗効果を図る戦略

2018/05/17 20:54 

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 総合商社と大手コンビニエンスストアの協業が加速している。伊藤忠商事は4月に持ち分法適用会社のユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)の子会社化を発表、三菱商事も子会社・ローソンをグループ経営の柱に位置付ける。小売りなど非資源分野を強化し収益安定化を狙う商社が、人手不足対策や海外展開を急ぐコンビニを支援することで、相乗効果を図る戦略だ。【今村茜、藤渕志保】

 伊藤忠商事は従来、ユニファミマHDの経営の自由度を優先する立場から子会社化に否定的だった。だが、ネット企業による買収の懸念が出たことで、1200億円を投じて株式公開買い付け(TOB)を行うことを決めた。鈴木善久社長は8日のアナリスト向け決算説明会で、「次世代ビジネスに進化させたい」と小売事業の収益拡大に意欲を見せた。

 商社首位の三菱商事も2017年2月にローソンを子会社化した。資源安による16年3月期の赤字を経て非資源分野を強化しており、垣内威彦社長は8日の決算発表会見で「食料や小売りは40年前には成長の芽でしかなかったが、社を背負って立つ事業モデルとなった」と強調した。

 コンビニ側にとっても、商社の総合力は商品開発や海外展開などの支えとなる。ローソンは17年、三菱商事の人脈を活用し、ベルギーの高級チョコレートメーカー、ゴディバとスイーツを共同開発した。三菱商事出身の竹増貞信ローソン社長は「三菱を使い倒す」と宣言しており、中国を中心に、フィリピン、インドネシア、タイなどでの店舗拡大を探る。人手不足に対応するための省力化投資が重荷となり18年2月期決算は減益となったが、「商事から思い切った投資をしていいと言われている」(ローソン関係者)と子会社化に伴う財務強化のメリットも生かす構えだ。

 ユニファミマHDも情報分野に強い伊藤忠商事との連携強化でAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を使った「次世代型店舗」や金融事業の強化を図っている。

 業界首位のセブン−イレブン・ジャパンは、「中小コンビニを吸収して拡大した他社と違い、創業時から自社看板だけで首位を独走したセブンには、商社がつけいるすきはない」(コンビニ関係者)とされる。ただ、親会社のセブン&アイHDへ1.83%出資している三井物産が、コンビニ弁当のプラスチック容器や食材の調達、店舗への配送業務の一部などを担っており、「機能面で協業している」(三井物産担当者)という。

 流通アナリストの渡辺広明さんは「高齢化と人口減少で食や小売市場は縮小傾向にある。将来はコンビニの海外展開は避けられず、商社との連携は活路となる」と分析する。

 ◇コンビニ業界巡る競争

 セブン−イレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社で国内シェア9割を占める。1974年に日本初のコンビニとも言われる1号店を東京・豊洲につくったセブン−イレブンが店舗数で先行し、追うファミマはampm、ココストア、サークルKサンクスを吸収、ローソンはセーブオン、ポプラ、スリーエフを取り込んで店舗数を伸ばした。

 しかし国内のコンビニ店舗数は5万店を超え飽和状態と指摘され、ドラッグストアでの食品販売やネット通販の台頭など、業態を超えた競争も激化している。生き残り策として、省エネ店舗拡大による光熱費削減や、コインランドリーなどの異業種参入、深夜帯のレジ無人化など、新たな取り組みを始めている。

毎日新聞

経済

経済一覧>

注目の情報