GDP年0.6%減:野菜高、消費に影響 1〜3月期

2018/05/16 21:05 

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 内閣府が16日発表した2018年1〜3月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、この状況が1年間続いた場合の年率換算で0.6%減となり、9四半期(2年3カ月)ぶりのマイナスに沈んだ。天候不順を背景にした個人消費の落ち込みが主因で、内需が依然として弱含みなことが浮き彫りとなった。「景気の足踏みは一時的」(アナリスト)との見方は多いものの、4月以降も食品値上げや原油高が消費者心理に暗い影を落としており、景気の先行きには不透明感が漂っている。【大久保渉、藤渕志保】

 「野菜の値上がりで食費が増えたので、ここ数カ月は外食を一切なくした。夫の趣味のゴルフや美術展巡りも控えている」。今月15日、東京都練馬区のスーパー「生鮮市場アキダイ関町本店」で夕食の買い物に来ていた近くの主婦、石岡早苗さん(50)はそう嘆いた。別の主婦(61)も「4月から乳製品が高くなり、孫が好きなヨーグルトを買い控え自家製にした」とため息をついた。

 天候不順で昨秋から野菜の価格が急激に上昇、ガソリン価格も値上がりした。加えて、この春の乳製品などの値上げが家計を直撃しており、消費者は切り詰めた生活を余儀なくされているのが実情だ。

 スーパーでは、サケやイカなどの魚介類やグレープフルーツなどの輸入果物の値段も上昇。アキダイでは、日曜朝に開いている特売セールには少しでも安い食材を求め、開店前から200人もの行列ができるようになった。秋葉弘道社長(49)は「今まで以上に高値が長引き、しびれを切らした消費者が特売に集まるようになった」と話す。

 今回のマイナス成長の主因は、GDPの6割を占める個人消費の低迷だ。前期比0.001%減と、小幅ながら2四半期ぶりにマイナスとなった。野菜などの高騰で消費者心理が冷え込み、外食なども手控えられたのに加え、米アップルのスマートフォン新製品「iPhone(アイフォーン)X(テン)」が昨秋発売された反動でスマホ販売が低迷したことも響いた。

 企業の設備投資も鈍り、0.1%減と6四半期ぶりのマイナスに転落。デフレ脱却に不可欠な「内需」は力強さを欠き、成長率を0.2%分押し下げ景気の足を引っ張る結果となった。

 一方、輸出は0.6%増と3四半期連続でプラスを維持した。しかし、アジア向けスマホの需要減などで、前期(2.2%増)に比べて伸びが鈍化。輸出から輸入を差し引いた「外需」は0.1%分成長率を押し上げて景気を下支えしたものの、内需の低迷を補えなかった。

 ◇先行き、内外に不安

 景気の先行きについて、市場では緩やかに持ち直すとの予想が多い。政府も、個人消費の低迷は天候不順など一時的な要因で、「所得、雇用環境は改善を続けている。心配するような結果ではない」(内閣府幹部)との見方だ。

 だが、食料品の値上げに加え、米国のイラン核合意からの離脱表明による中東情勢の不安定化などを背景に、原油価格が一段と上昇。ガソリンも値上がりしているほか、光熱費などの値上げも予想されている。一方、経団連が4月25日発表した18年春闘の第1回集計では、大手企業の賃上げ率は平均で2.54%。5年連続で2%を超えたが、デフレ脱却を目指し安倍晋三政権が経済界に要請した3%の賃上げには届かなかった。

 みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストは「さまざまな製品の価格上昇が賃上げの勢いを上回り、今年後半までは消費が弱い状態が続くのではないか」と分析する。

 持ち直しの動きが続く海外経済の先行きも楽観できない。緊迫した北朝鮮情勢が一服したことで北東アジアの地政学的リスクはひとまず回避できたものの、トランプ米政権の保護主義的な政策で、米中間の貿易摩擦が激化。両国の貿易が停滞すれば、日本の輸出関連企業も大きな影響を受けかねないためだ。

 茂木敏充経済再生担当相は16日に発表したコメントで「海外経済の不確実性や金融資本市場の変動に留意する必要がある」と指摘。内需の足取りがおぼつかない中、海外経済の変調によって輸出まで減速すれば、日本経済の回復シナリオは見直しを余儀なくされる。

毎日新聞

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